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学長式辞(14時40分)
2007/03/25

只今、各学部を卒業された皆さんには学士、大学院博士前期課程を修了された皆さんには修士、博士後期課程を修了された皆さんには、博士の学位が授与されました。皆さんの学位の取得は、大いに評価され、祝福されるべきことです。わたくしは、神奈川大学の名において、皆さんに心からお祝いを申し上げます。

また、ご父母の皆様も、皆さんの学位取得を、我がことのように、お慶びになっていらっしゃることと推察されます。親の子に対する愛情は、子がいくつになっても変わるものではないとは申すものの、まことにありがたいことです。わたくしは、神奈川大学のすべての教職員を代表して、ご父母の皆様に心からお慶びを申し上げます。

さて、今ここに学位を取得された皆さんは、その喜びを大いに満喫されるとともに、明日からの出発へ向けて決意を新たにされていることと思います。学位の取得も、長い人生からみれば、その道のりの一地点での一つの区切りにすぎません。ゲーテが「死して成れ」と述べておりますように、人間には、これで十分だ、完成したということはありません。生きている限り、自己の完成という大きな目標に向かって絶えず努力し続けるのが人間です。完成ということがあるとすれば、それは恐らく死の時ということになるでしょう。幸い、皆さんには、学位を得られたことに明らかなように、皆さんが考えている以上に大きな潜在的能力があります。また、本学における学びを通して、生きていく力を身につけられたはずです。神奈川大学で学んだこと・学位を得たことに誇りと自信をもって、節目ごとに決意を新たにされ、その潜在的能力をさらに顕在化させ、完成を目指されるよう心から希望致します。

また同時に、皆さんがどのような道に進まれる場合にも、皆さんが21世紀を築き支える中心的な世代であることをよく自覚して頂きたいと思います。21世紀は、人間の尊厳と自然への畏敬を基調とし、人間の真の幸福を追求すべき世紀です。したがって、21世紀の市民には、これまで以上に「自立と共生」の精神が求められます。皆さんには、すべての場面において自らの意志によって自立して生きていくという強い意志と、自分が他の人と自然によって生かされている、そういう明確な意識をもつことが求められているのです。

21世紀を特徴づける国際化・情報化も、21世紀市民の「自立と共生」の精神に裏打ちされたものでなければなりません。国際化社会は、同じ地球に住み、自然を共有し、お互いの歴史・文化を尊重し合える人びとによって支えられるものです。また、情報化社会は、情報を適正に収集・発信し、情報を適正に使いこなせる人によって支えられるものです。そういう意味において、情報機器の不正操作が大きな被害を生み、それへの過度の依存が人間の心や人格形成にゆがみをもたらしている、そのような指摘をしばしば耳にすることは、まことに遺憾なことです。

また、世界平和を願って設立された国際連合の機能しないままに、4年前の3月19日開始されたイラク戦争は、21世紀の国際化の方向に逆行するものでした。これについては、2003年度の卒業式・学位授与式において、次のように述べたことがあります。

イラク戦争は、「戦闘終結の宣言はなされたものの、今なおイラクの治安と復興には大きな不安が残されたままです。テロによる恐怖も解消されるどころか拡散し、むしろ強まっているようにさえ思われます。この戦争は、2001年のニューヨークにおける痛ましく、そして許しがたい9.11テロ事件に端を発するものではありますが、何よりも、まずこの事件の背景を探り、原因を明らかにする必要があったように思われます。そしてまた、いずれの国にも人種や宗教を前提とした固有の歴史と文化があることに思いを致し、国連を中心とした多国間協議の中で解決が図られるべきでした。その意味において、この間、ドイツ・フランスが冷静な態度をとってきたことは、国際化を志向する21世紀の文明国として極めて賢明な選択であり、いずれ歴史がそのことを証明することになると思われます。」

このように述べてから丁度三年がたちました。しかし今なお、イラクの治安と復興には大きな不安があり、テロによる恐怖も解消されないままです。他方、当初アメリカを支持し軍隊を派遣していた国も多くはすでに撤退し、今年中の撤退を明らかにしている国も見受けられます。アメリカ国内においても、イラク問題に対する批判は益々強まっています。こうした一連の流れをみるとき、ここには、20世紀的な主権国家主義の時代は終わり、平和秩序の維持・回復の手段として、軍事力には大きな限界があることが示されているように思われます。21世紀の国際化社会においては、21世紀にふさわしい戦争を回避する知恵の創造が強く望まれます。

人間の歴史は、人類の福祉を少しでも前進させることの積み重ねでなければなりません。皆さんには、21世紀の社会を築き支える市民として「自立と共生」の精神のもとに、人々の幸福と社会の繁栄に寄与するという高い志をもって、自らの完成を目指して頂きたいと思います。そうすることが、皆さんが生きていて良かったと思えるような豊かな人生を築くことにもなると確信しています。

皆さんのご健康と皆さんの人生がそのようなものになることを心より祈念して、式辞と致します。

2007年3月25日
神奈川大学長   山火 正則

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