ページ内を移動するためのリンクです。
ここからメインコンテンツです
2016年度卒業式・学位授与式(一回目)【学長式辞】
2017/03/21

学長からのメッセージ

式 辞

卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。

皆さんは、入学後、勉学に励まれ、研鑽を積まれて、それぞれ、学士、修士、博士の学位を取得されました。神奈川大学の教職員を代表して、心からお祝いを申し上げます。

また、本日は、御父母の皆さま、関係者の皆さまにも多数ご列席いただいております。今日まで長年守り育て、支えてこられたご労苦に対して、深い敬意とともに、心よりの感謝を申し上げます。

皆さんの同窓である卒業生は、22万人を超え、全国に約780校ある大学のなかで、10数位の卒業生数を誇っております。卒業生は、国内外で活躍されており、卒業生の組織である宮陵会は、全国に地区組織を持つほか、ロンドン、ロサンゼルス、上海などの海外主要都市でも組織化されております。特に、バンコク宮陵会は、歴史も古く、会長の大橋寅治郎氏は、昨年までタイ国日本人会の会長も務めておられました。なお、タイには、在留邦人が約5万人、日系企業が約6,000社進出するなど、日本とタイとの結びつきは強く、大橋氏は、現在も両国の友好親善にご尽力されておられます。皆さんは、このように国内外で活躍されている多くの卒業生の仲間入りをすることになります。

さて、皆さんが学んでこられた、神奈川大学とは、いかなる「学び舎」であったのかを、改めて確認していただきたいと思います。
創立者の米田吉盛先生が、「質実剛健・積極進取・中正堅実」の建学の精神に基づき、いかなる社会変化にも対応して、主体性を持って新たな価値を創造する「人をつくる」ことを目指し、本学の前身である横浜学院を桜木町に創立されて、この4月で89周年を迎えます。
以来、卓越した研究の叡智に基づく教育重視の方針を今日まで堅持して、近年では、「約束します、成長力。―成長支援第一主義―」と表現して、「人をつくる」大学の新しいコンセプトとして実践しております。

皆さんは、このような教育理念の伝統を堅持してきた本学で、学問、すなわち「学びて問う」ことに日々取り組んでこられました。この「学びて問う」ことを通して、皆さんの生涯の糧となる「自ら考える力」をじっくりと培ってきたものと思います。加えて本学では、人としての生きかた、物事の善し悪しなどを判断する能力を培う「教養教育」を重視してまいりました。本学の「人をつくる」教育に、この教養教育は欠かせないものとなっております。

さて、皆さんが取得された学位には、これを契機として、生涯を通して精進されることへの期待も含まれております。
新世紀に入り、私たち人類はますます多元的な価値観と複雑な社会構造のなかで生きていかねばなりません。一方、人類が抱える新たな貧困問題や紛争と難民問題などの多くの課題が、次々と現出しています。

現在世界は混沌とした状態にあります。戦後の先進国を支えてきた経済成長の時代が終わり、これまで当然と思われてきた平和で豊かな国家作りを維持することも、きわめて困難な事態に陥りました。そうした中で、市場機能を優先し、個の自由を最大限に活用するいわゆる「ワシントン・コンセンサス」と呼ばれる新自由主義的な政策が出現し、国家の垣根を越えたグローバルな世界市場が生まれ、国際資本による取引が世界を駆け巡りました。
生産要素としての資本と労働に内在する特殊性に、なすべき配慮を施さない新自由主義的な政策は、結果として経済的な格差の拡大と社会的排除や現代社会の分断問題等を現出するに至っています。

1960年代、スイスの作家マックス・フリッシュは、いみじくも「われわれは労働力を呼び寄せたが、やって来たのは人間だった」と述べました。つまり、私たちの社会を構成しているのは、単なる働くだけの労働者ではなく、喜びや、苦しみも持った生身の人間なのだということです。大事なことは、社会は「尊厳ある人間」によって構成されていることを理解することであり、「人間を大切にすること」なのです。
もちろん、「人間の尊厳」を守ることは、直ちにグローバル化を否定するものではありません。

「資本の文明化作用」という言葉があります。資本主義のグローバル化は、一方で、世界に文明をもたらすという意味です。グローバル化の中で世界中に行き渡った人権や民主主義思想は、ある意味大きな貢献です。それが人種差別や移民排斥を拒否し、世界の人々に「人間に対する尊厳」をもたらしたことは、否定できない確かな事実なのです。
また、現在のグローバリズムをもたらした新自由主義の創始者ともいわれる、フリードリヒ・ハイエクなどが起草したモンペルラン協会の設立宣言にも、「人間の尊厳」という文言が記載されています。個人の自由は、「人間に対する尊厳」なくして存在し得ないことを、創生期の新自由主義者らは、しっかりと理解していたのです。このことを忘れてはなりません。
だからこそ、私たちは、未来の世代のために、資本主義がもたらしたグローバル化の中で、「人間の尊厳」を守る社会を構築する義務と責任を持っているのです。
現在の資本主義社会のさまざまな問題を乗り越え、新しい社会を作り上げる課題は、とりわけこれから巣立つ若い皆さんが主導的に解決していかねばなりません。
かつてはこうした課題を背負うのは、一部のエリートや富裕層に限られていました。しかしそうした社会は、すでに機能不全を起こし、過去のものと言ってよいでしょう。今日、活力のある社会は、すべての人々が、「人間の尊厳」をもって自由に発言できる社会といえます。その意味でも、階級社会や格差社会は、なんとしても乗り越えねばなりません。

また、私たちは、近いうちに人工知能をはじめとする科学技術の急速な発達により、資本主義社会の大きな変容に遭遇するかもしれません。産業構造は大きく変化し、皆さんが提供する労働に対しても、質的な転換とともに新しい労働の価値を生み出すことが求められるなど、大変厳しい現実に直面することを覚悟しなければなりません。
とはいえ、私は、皆さんに、「希望」を忘れないでいただきたいと思います。厳しい状況にあるときこそ、「希望」を持つことが大切なのです。

ドイツの哲学者エルンスト・ブロッホは、「大切なのは、希望を学ぶことである。希望がやる仕事は諦めることがない。希望は挫折にではなく、成功に惚れ込んでいるのである」 と『希望の原理』のなかで記しています。新しい時代を創生する人材は、「人間の尊厳」を大切にして、「希望」を持ち続け、自ら考える力を備えた教養のある神奈川大学の卒業生から生まれるものと信じます。

最後になりますが、伝統ある神奈川大学で学んだことを誇りに、実社会においても学ぶ姿勢を忘れず、常に希望を持ち続け、より賢明な社会の実現に皆さんなりに貢献されることを期待しております。そして、皆さん一人ひとりが社会の希望であり財産であることを自覚して、健康にこころがけて、皆さんの人生がより良いものになりますよう、心より祈念して、私からの式辞といたします。

2017年3月21日
神奈川大学学長 兼子良夫

カテゴリ
  • 新入生のみなさん、ご入学おめでとうございます。入学式当日の様子をこちらでご覧いただけます。
  • 今年度卒業の皆さんも、既に卒業された皆さんも、是非ここで懐かしい思い出を楽しんでいってくださいね。
  • 神奈川大学を体感しよう!オープンキャンパスの様子をこちらでご紹介します。
  • 「地域密着」の大学祭と言えば神大フェスタ!当日の様子をこちらでご覧いただけます。
  • 親子で楽しめるイベントが盛りだくさんの平塚祭!当日の様子をこちらでご覧いただけます。
  • 卒業生のひろば

このページのトップへ